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消火器の勘定科目は?購入・交換・点検・処分の仕訳例

公開: 2026-10-15

消火器を買った、交換した、点検してもらった、古いものを処分した。経理で迷うのは、それぞれをどの勘定科目にするかだ。

業務用の消火器は、1本の取得価額が10万円未満なら「消耗品費」で全額をその期の経費にするのが一般的だ。点検料は「支払手数料」や「修繕費」、古い消火器の処分費は「支払手数料」などで計上する。 勘定科目の名前は法律で決まっておらず、会社が決めて毎期同じ科目を使い続ければよい。税務上の結論を左右するのは科目名ではなく、10万円未満かどうかと、使い始めた時期のほうだ。

消防設備点検の料金や、自動火災報知設備の更新工事のような高額な支出の扱いは消防設備点検費用の勘定科目と仕訳で解説している。この記事は消火器に絞る。

支出ごとの勘定科目早見表

支出の内容よく使われる勘定科目判断のポイント
消火器の購入・買い替え(1本10万円未満)消耗品費1本ごとの価格で判定。使い始めた期に全額を経費にする
消火器の購入(1本10万円以上)工具器具備品(資産計上)一括償却資産や中小企業者の特例で経費化を早められる場合がある
中身(薬剤)の詰め替え消耗品費・修繕費消火器の機能を元に戻す支出
消火器の点検料(業者への支払い)支払手数料・修繕費・保守料消防設備点検の一部として請求されることが多い
古い消火器の処分費・リサイクルシール代支払手数料・雑費回収業者への支払い、運搬費を含む
交換一式(本体+既存品の廃棄)消耗品費(廃棄料を分けるなら支払手数料)請求書で本体と廃棄料が分かれていれば分けて計上できる

「支払手数料」と「修繕費」のどちらにするかに正解はない。会社の科目体系に合わせて決め、翌期以降も同じ科目を使う。

消火器を買ったときの勘定科目は?

1本10万円未満なら「消耗品費」で、その期の経費にする。 国税庁は、取得価額が10万円未満の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度に取得価額の全額を損金経理すれば損金に算入できると案内している(国税庁 No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示)。

業務用の消火器で10万円を超えるものは少ない。点検業者が公開している価格の例は次のとおりだ(当サイトが2026年10月に各社の料金ページから集めたもの)。

消火器の種類公開されている価格の例出典
粉末蓄圧式消火器 10型(3kg)9,680円(税込・設置業務)福岡ビル開発
強化液消火器(3L)14,520円(税込・設置業務)福岡ビル開発
消火器(種類の記載なし)7,150円(税込・1本)沖消防建設
大型粉末消火器 50型(20kg)84,700円(税込・設置業務)福岡ビル開発

車輪の付いた大型の50型でも、この例では1台8万円台に収まっている。店舗や事務所に置く10型前後の消火器なら、1本1万円前後が目安になる。

10万円は合計額ではなく1本ごとに判定する

国税庁は、取得価額は「通常1単位として取引されるその単位ごと」に判定するとしている。消火器は1本で機能するので、1本1万円の消火器を15本まとめて買って合計15万円になっても、1本ごとに見れば10万円未満で、全額を消耗品費にできる。

税込と税抜のどちらで判定するか

会社が採用している消費税の経理方式で決まる。税抜経理なら税抜の価格、税込経理なら税込の価格で10万円未満かを見る。免税事業者は税込経理になる(国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。

期末に予備の消火器を置いていたら?

使い始めていない予備の消火器は、少額の減価償却資産として経費にできる時期がまだ来ていない。 国税庁の案内では、全額を損金にできるのは「事業の用に供した事業年度」だ。期末をまたいで倉庫に置いている未使用品は、貯蔵品として資産に残し、設置した期に消耗品費へ振り替えるのが原則的な処理になる。予備をまとめて買う予定があるなら、購入前に顧問税理士と処理を決めておく。

1本10万円以上の消火器や、まとめて設置する場合は?

1本10万円以上なら、原則は「工具器具備品」として資産に計上し、耐用年数にわたって減価償却する。経費にする時期を早める方法は2つある。

  • 一括償却資産: 取得価額が20万円未満なら、その期に取得した分の合計額を3年間で均等に経費にできる(国税庁 No.5403)
  • 中小企業者等の少額減価償却資産の特例: 青色申告の中小企業者等は、取得価額が40万円未満の資産を、年間合計300万円まで取得した期に全額経費にできる。2026年4月1日以後の取得分から、上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、適用期限は2029年3月31日まで延びた(国税庁 No.5408)。従業員数の要件があり、確定申告書に明細書(別表十六(七))を添付しないと使えない

なお、建物に組み込む屋内消火栓設備やスプリンクラー設備、自動火災報知設備の工事は、持ち運べる消火器とは別の扱いになる。工事を伴う支出は消防設備工事の費用と点検費用の勘定科目を参照してほしい。

消火器の交換・詰め替えの勘定科目は?

期限が来た消火器を新品に替えるなら、新しい消火器の購入として消耗品費で計上する。 中身の薬剤だけを詰め替えて使い続ける場合は、消火器の機能を元に戻す支出として消耗品費か修繕費にする。

業者に交換を頼むと、本体代と既存品の廃棄料がまとめて請求されることがある。公開価格の例では、福岡ビル開発が「消火器交換(既存廃棄料含む)」を1本あたり11,798円(税込)としている(福岡ビル開発)。請求書で内訳が分かれていれば、本体を消耗品費、廃棄料を支払手数料に分けて計上できる。分かれていなければ、まとめて消耗品費にしても税額は変わらない。

消火器の点検費用の勘定科目は?

業者に払う点検料は「支払手数料」「修繕費」「保守料」のいずれかで計上する。 消火器の点検は、消防法で6か月ごとの機器点検として行うもので、ほかの消防設備と合わせて「消防設備点検」として請求されることが多い。その場合は請求書全体を1つの科目で計上してよい。

消火器だけの点検料は、公開されている例では1本数百円から1,000円前後だ。たとえば、なかの消防サービスは「消火器10年以下」を1本800円、「消火器11年以上」を1本1,000円(いずれも税別、別途基本料金)としている(なかの消防サービス)。加圧式消火器の放射点検は1本5,500円(税込、沖消防建設)のように高くなる。点検の種類と費用の全体像は消防設備点検の費用相場にまとめている。

古い消火器の処分費の勘定科目は?

回収業者への支払いやリサイクルシール代は「支払手数料」、金額が小さく頻度も低ければ「雑費」で計上する。 廃消火器は、消火器リサイクル推進センターのリサイクルシステムで回収・処分する。

2010年以降に製造された消火器には、リサイクルの費用(運搬費と処理費用)を含むリサイクルシールが最初から貼られている。引き取りを頼む場合は、収集運搬費や保管費が別にかかることがある(消火器リサイクル推進センター リサイクルシール)。

シールがない消火器は、特定窓口や指定引取場所でシールを買って貼る。窓口での価格はオープン価格で、窓口ごとに違う。センターのサイトでは家庭向けに小型用シールを1枚600円(1回5枚まで、送料と代引手数料は別)で売っている(リサイクルシールの購入方法)。業務用でまとめて処分するなら、点検業者に交換と廃棄をまとめて見積もってもらうほうが手間は少ない。

仕訳の例

税抜経理の会社で、消費税率10%の場合の例だ。

消火器(10型)を1本11,000円(税込)で購入し、事務所に設置した

借方金額貸方金額
消耗品費10,000円普通預金11,000円
仮払消費税等1,000円

業者に消防設備点検を依頼し、消火器を含む点検料33,000円(税込)を支払った

借方金額貸方金額
支払手数料30,000円普通預金33,000円
仮払消費税等3,000円

消火器2本の交換を依頼し、本体22,000円(税込)と廃棄料4,400円(税込)が分かれて請求された

借方金額貸方金額
消耗品費20,000円普通預金26,400円
支払手数料4,000円
仮払消費税等2,400円

税込経理の会社なら、仮払消費税等を立てずに税込の金額で計上する。インボイスを発行しない免税事業者から買った場合は、仕入税額控除できる額が変わるので、インボイスの経過措置を確認する。

よくある質問

Q. 消火器は「消耗品費」と「備品」のどちらで計上しますか 1本の取得価額が10万円未満なら消耗品費で計上し、その期の経費にするのが一般的です。業者の公開価格では、大型の50型でも1台8万円台の例があり、業務用でも10万円を超えるものは多くありません。1本10万円以上なら工具器具備品として資産に計上します。

Q. 消火器を何本もまとめて買い、合計が10万円を超えました。資産になりますか なりません。10万円未満かどうかは、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。消火器は1本で機能するので、1本ごとの価格で判断します。

Q. 消火器の点検費用は修繕費と支払手数料のどちらが正しいですか どちらでも構いません。勘定科目の名前は会社が決めるもので、税額は変わりません。一度決めたら、毎期同じ科目を使い続けてください。

Q. 個人事業でも同じ扱いになりますか 10万円未満の少額の減価償却資産を全額経費にできる点、税込・税抜の判定が経理方式によって決まる点は、所得税でも同じです(国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。中小事業者の特例にも所得税版があります。

Q. 期限切れの消火器を交換せずに置いておくと問題がありますか 業務用消火器を置く義務がある建物では、点検で不良と判定された消火器は交換や整備が必要になり、点検結果は消防署への報告の対象になります。点検の流れは消防設備点検とは、自分でできる確認は消火器の自主点検で解説しています。

まとめ

  • 業務用の消火器は1本10万円未満なら消耗品費。10万円は合計額ではなく1本ごとに判定する
  • 予備で置いている未使用品は、原則として設置した期に経費にする
  • 点検料は支払手数料・修繕費・保守料、処分費は支払手数料か雑費。科目名は会社が決めて毎期そろえる
  • 1本10万円以上なら工具器具備品。中小企業者等は2026年4月取得分から40万円未満の特例が使える

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