消火器を点検したら、結果は「消火器具点検票」に書く。様式は消防庁の告示で決まっていて、1枚目の「その1」と2枚目の「その2」でできている。
その1には建物と点検者の情報、設置状況と消火器の外形の点検結果を書く。判定欄は正常なら○、不良なら不良だった本数で、内容を不良内容欄に、その場で直したことを措置内容欄に記入。その2には内部と機能、耐圧性能の点検結果、備考、使った測定機器、消火器の種類ごとの本数を書く。 内部と機能の点検は製造年から3年(蓄圧式は5年)を過ぎた消火器が対象で、対象がなければその欄には書かない。
この記事は消防庁のパンフレット「消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために」の記入例と、点検の基準を定めた消防庁告示 別表第1 消火器具の点検の基準をもとにしている。報告書全体の書き方は消防設備点検結果報告書の書き方と提出にまとめた。
消火器の点検で提出する書類は?
消火器だけを点検した場合でも、点検票だけを出すのではない。東京消防庁は、報告書に次の書類を添えるよう案内している(東京消防庁 消防用設備等点検結果報告書)。
| 書類 | 中身 |
|---|---|
| 消防用設備等点検結果報告書 | 表紙。建物の名称・所在地と報告者を書く |
| 消防用設備等点検結果総括表 | 点検した設備ごとの結果のまとめ |
| 消防用設備等点検資格者一覧表 | 点検した人の氏名と資格(日本消防設備安全センターの様式では「点検者一覧表」) |
| 消火器具点検票(その1・その2) | この記事で書き方を説明する点検の記録 |
東京消防庁の場合、窓口と郵送は原則1部の提出で、受付印のある控えがほしければ表紙のコピーを持っていく。電子申請もできる。他の地域の部数と提出方法は、管轄の消防署のページで確かめる。
点検票の様式はどこで手に入る?
消火器具点検票はWordとPDFで公開されている。
- 東京消防庁 消防用設備等点検結果報告書:「消火器具点検票」として掲載
- 日本消防設備安全センター 点検報告・点検票:全設備の点検票の様式
- 消防庁のパンフレット:その1・その2の記入例つき
日本消防設備安全センターは、記載のしかた(記載要領)を管轄の消防本部に確かめるよう案内している。管轄の消防署が独自の様式や記載要領を案内している場合は、そちらに従う。
その1の書き方は?
上の欄 建物と点検者
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 名称・所在 | 建物(店舗・事業所)の名称と所在地 |
| 防火管理者・立会者 | 防火管理者の氏名と、点検に立ち会った人の氏名 |
| 点検種別 | 機器点検(消火器の点検は6か月ごとの機器点検) |
| 点検年月日 | 点検した期間 |
| 点検者・点検者所属会社 | 実際に点検した人の氏名と、所属する会社の名称・住所・電話番号 |
点検者欄には、実際に点検した人の名前を書く。自分たちで点検したなら、その人の名前と自社の情報が入る。
点検結果の欄 種別の列・判定・不良内容・措置内容
点検項目の右側に「消火器の種別」の列がA〜Fまで並んでいる。点検した消火器の種類の列に、項目ごとに○(正常)か不良だった本数を書く。置いていない種類の列は空けておく。
| 列 | 消火器の種類 |
|---|---|
| A | 粉末消火器 |
| B | 泡消火器 |
| C | 強化液消火器 |
| D | 二酸化炭素消火器 |
| E | ハロゲン化物消火器 |
| F | 水消火器 |
店舗や事務所に多い粉末消火器はA列だ。粉末と強化液を1本ずつ置いているなら、A列とC列の両方に書く。
判定欄は、その項目の結果をまとめて正常なら○、不良なら不良だった本数を書く。種別の列のどこかに不良があれば、判定欄にも不良の本数が入る。不良があれば、何が悪かったかを不良内容欄に、点検のときに直したことを措置内容欄に書く。選択肢のある欄は、当てはまるものに○を付ける。
点検する項目
その1の項目は、告示の別表第1にある「設置状況」「表示及び標識」「消火器の外形」に対応している。
| まとまり | 項目 | 正常といえる状態(告示の基準の要旨) |
|---|---|---|
| 設置状況 | 設置場所 | 通行や避難の邪魔にならず、すぐ持ち出せる |
| 設置間隔 | 建物の各部分から消火器までの歩行距離が規定以下 | |
| 適応性 | 置いた場所の火災に合った消火器である | |
| 耐震措置 | 倒れると薬剤が漏れる消火器に、転倒防止の措置がある | |
| 表示・標識 | 表示・標識 | 損傷・汚れ・脱落がなく、所定の標識がある |
| 消火器の外形 | 本体容器 | 薬剤の漏れ、変形、損傷、著しい腐食がない |
| 安全栓の封・安全栓 | 損傷や脱落がなく、確実に付いている | |
| 使用済みの表示装置 | 損傷や脱落がなく、作動していない | |
| 押し金具・レバー等 | 変形や損傷がなく、確実にセットされている | |
| キャップ・ホース・ノズル | 変形、損傷、老化、詰まりがなく、しっかりつながっている | |
| 指示圧力計 | 損傷がなく、針が緑色の範囲にある | |
| 圧力調整器・安全弁・保持装置 | 変形や損傷がなく、保持装置から取り外しやすい | |
| 車輪・ガス導入管 | 車載式の大型消火器だけ |
消火器のどこを見るかは、パンフレットに写真つきで載っている。手順は消火器点検は自分でできるでも解説している。
記入例
消防庁のパンフレットの記入例は、粉末消火器と強化液消火器を1本ずつ置いている飲食店で、次のように書いている。
| 点検項目 | A(粉末) | C(強化液) | 判定 | 不良内容 | 措置内容 |
|---|---|---|---|---|---|
| 設置場所 | 1 | ○ | 1 | 通行障害 | 位置変更 |
| 設置間隔 | 1 | ○ | 1 | 歩行距離オーバー | 位置変更 |
| 適応性 | ○ | ○ | ○ | ||
| 本体容器 | ○ | ○ | ○ | ||
| 指示圧力計 | ○ | ○ | ○ |
この例では、粉末消火器1本の置き場所が通路をふさぎ、歩行距離も規定を超えていたので、A列と判定欄に不良の本数「1」を書いている。
不良が見つかっても、その場で置き場所を変えて直したなら、措置内容欄に「位置変更」と書く。
その2の書き方は?
内部等・機能の欄は、対象の消火器があるときだけ書く
消火器の内部と機能の点検は、告示で対象が決まっている(二酸化炭素消火器とハロゲン化物消火器は除く)。
- 製造年から3年を過ぎた消火器(加圧式など)
- 蓄圧式の消火器は製造年から5年を過ぎたもの
- 化学泡消火器は設置から1年を過ぎたもの
- 外形の点検で、安全栓や安全栓の封、緊結部などに異常が見つかったもの
製造年は消火器本体のラベルで確かめる。 対象の消火器がなければ、パンフレットの記入例のように内部等・機能の欄には斜線を引いて何も書かない。対象の消火器があるときは、本体を開けて薬剤の状態や量、部品を確かめる点検になり、器具と経験が要る。消防庁のパンフレットも、製造年から5年(加圧式は3年)を超えた消火器は、内部の点検が必要になるとして、消防設備業者などに頼むか買い替えるよう案内している。
耐圧性能の欄
製造年から10年を過ぎた消火器と、外形の点検で本体容器に腐食が見つかった消火器は、耐圧性能の点検をする。本体容器とキャップに水圧をかけて、変形や水漏れがないかを確かめる点検だ。一度実施したら、その後3年は対象から外れる(消防庁告示 別表第1)。対象の消火器がなければ、この欄も斜線にする。水圧試験の器具が要るので、自分で点検するときは、10年を過ぎた消火器を業者に点検してもらうか買い替えるかを決めることになる。
備考・測定機器・器種ごとの本数
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 備考 | 不良内容の詳しい状況。パンフレットの例は「設置位置を変更した。」 |
| 測定機器 | 点検に使った機器の名称・型式・校正年月日・製造者名。使っていなければ記入例のように斜線 |
| 器種ごとの結果 | 消火器の種類ごとに、設置数・点検数・合格数・要修理数・廃棄数 |
器種ごとの結果は、パンフレットの例では「粉末(蓄圧式)設置1・点検1・合格1・要修理0・廃棄0」「強化液(蓄圧式)設置1・点検1・合格1・要修理0・廃棄0」のように、点検した本数を書いている。設置数と点検数が合わないときは、点検できなかった理由を備考に書いておくと、消防署から聞かれたときに説明しやすい。
提出前に確かめること
記入要領から外れやすい点を、出す前に見直す。
- 点検した消火器の種類と、書いた列(A〜F)が合っている
- 不良の項目に○が付いていない。不良なら本数と不良内容がある
- その場で直したものは措置内容欄に書いた。直していないものは改修の予定を決めた
- 製造年を全部の消火器で確かめ、内部等・機能、耐圧性能の欄の書き方が対象の有無と合っている
- 器種ごとの本数の合計が、建物に置いている本数と合っている
点検票は自分で書いてよい?
消火器の点検を関係者が自分で行える建物なら、点検票も自分で書いてよい。ただし、建物の用途や規模によっては、消防設備士か消防設備点検資格者に点検させなければならない。消防庁のパンフレットもこの点を注記している。自分で点検できるかどうかは消防設備点検を自分でやる方法で確かめてほしい。
点検で不良の消火器が見つかったときの交換費用と経理処理は、消火器の勘定科目で扱っている。
よくある質問
Q. 消火器の点検票の判定欄には何を書きますか 正常なら○、不良なら不良だった本数を書きます。不良の場合は、何が悪かったかを不良内容欄に、点検のときに直したことを措置内容欄に書きます。
Q. 製造から2年の蓄圧式消火器しかありません。その2は書かなくていいですか 内部等・機能の欄は、蓄圧式なら製造年から5年を過ぎたものが対象なので、外形の点検で異常がなければ斜線にします。備考、測定機器、器種ごとの本数(設置数・点検数など)は書きます。
Q. 消火器の点検票だけを消防署に出せばいいですか いいえ。点検結果報告書、点検結果総括表、点検資格者(点検者)一覧表と一緒に出します。東京消防庁は原則1部の提出を案内しています。他の地域は管轄の消防署で確かめてください。
Q. 製造から10年を過ぎた消火器はどう書きますか 耐圧性能の点検の対象になります。点検を実施したら結果を書き、実施していなければ報告の前に点検するか、消火器を買い替えます。耐圧性能の点検は水圧試験の器具が要るため、消防設備業者に頼むのが一般的です。
Q. 消火器の「試験結果報告書」は点検票と同じものですか 別の書類です。消防用設備等試験結果報告書は、消防用設備等を設置したときに消防署へ出す設置届に、設備ごとに添える書類です(東京消防庁 消防用設備等設置届出書)。6か月ごとの定期点検では使わず、点検結果は消火器具点検票に書きます。設置の工事と届出は消防設備工事で扱っています。
Q. 点検票はExcelで作ってもいいですか 東京消防庁や日本消防設備安全センターがWord版の様式を公開しているので、それに入力して印刷できます。項目を省いた自作の表ではなく、告示の様式に沿ったものを使ってください。
まとめ
- 消火器の点検結果は、消防庁告示の様式の「消火器具点検票」その1・その2に書く
- 判定欄は正常なら○、不良なら本数。不良内容と措置内容をセットで書く
- 内部等・機能の欄は製造年から3年(蓄圧式は5年)を過ぎた消火器、耐圧性能の欄は製造年から10年を過ぎた消火器が対象
- 提出は点検票だけでなく、報告書・総括表・点検資格者一覧表とセット
製造年を確かめたら内部点検や耐圧性能点検が必要な消火器が多かった、ほかの設備もまとめて頼みたい、という場合は、無料見積もりから建物の所在地と用途を送ってほしい。点検票の作成と消防署への提出まで含めた見積もりを返す。